アルバイト・パート
スーパーマーケットを経営していますが、従業員の8割がパートタイマーです。パートタイマーを雇う際の法律があるとのことですが、どういったことが定められているのか教えてください。
パートタイマーやアルバイトであっても、仕事や責任などが正社員とほとんど変わらない働き方なのに、賃金や待遇が見合っていないため、労働意欲を失わせてしまうという状況があります。
「パートタイム労働法」は、こうした問題を解消し、適正な労働条件の確保や福利厚生の充実など、雇用管理の改善等を目的としています。
この法律でいうパートタイマーは、「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義され、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び名は異なっていても、この条件にあてはまる労働者であればパートタイム労働法の対象となります。
パートタイマーの多くは、仕事と家庭の両立を考慮し、生活のリズムにあった労働時間を選んで応募しています。雇用主が一方的に労働時間の変更をしたり、残業を命じたりすることのないよう努めてください。
●パートタイマーの契約更新と雇止め
雇用主は、パートタイマーと期間のある労働契約を結ぶときは、契約期間満了時に更新の有無があるかどうか明示が必要です。更新する場合があるときは、「更新する場合、しない場合の判断基準」を明示しなければなりません。
雇用を継続しない場合や、有期労働契約を3回以上更新し、または契約期間が1年を超えて継続勤務しているパートタイマーを雇い止めとする場合は、契約期間満了日の30日以上前に、その予告をしなくてはなりません。(契約更新をする場合は、その都度、雇用契約書の交付が必要です。)
有期雇用契約の更新を何度も繰り返していると、労働者側に「更新期待権」というものが生じ、期間満了の際、雇用主が自動的に契約更新を拒むことはできなくなります。
●パートタイマーにも労働基準関係法が適用されます
パートタイマーを解雇する場合、少なくとも30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。また、所定労働時間を超えて労働させた場合は、割増賃金の支払い(同法第37条)が必要です。要件を満たしたパートタイマーには有給休暇を付与しなければなりません(同法第39条)。
そのほかにも、常時使用するパートタイマーに対して健康診断の実施(労働安全衛生法第66条)、妊産婦や女性パートタイマーに対する有害業務の制限、産前産後の休業等の母性保護措置を講じなければなりません。
☆パートタイム労働法のポイント
・待遇の原則(第8条)
雇用主が、短時間労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはなりません(平成27年4月1日改正)。
・差別的扱いの禁止(第9条)
契約期間の有無にかかわらず、パートタイマーの職務内容と人材活用の仕組みが正社員と同じである場合には、すべての待遇についてパートタイマーであることを理由に差別的に取り扱うことは禁止されています(平成27年4月1日改正)。
・バランスのとれた待遇を(第10.11.12条)
正社員と同視すべきパートタイマーでなくても、教育訓練を実施したり、賃金(基本給、賞与、役付手当や職務の内容に密接に関連して支払われる通勤手当)は、職務内容、成果、能力、経験などを勘案して決定するよう努め、福利厚生施設の利用等についても配慮が必要です。
・雇い入れの際、労働条件の文書明示を(第6条)
パートタイマーを雇い入れたときは、労働条件を文書の交付により明示しなければなりません。パートタイム労働法では、18ページ記載の書面明示しなければならない項目に加え、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」についても書面での明示を義務付けています。
・雇い入れたら、待遇の決定について説明を(第14条)
パートタイマーの中には、通常の労働者との待遇の格差について不満や疑問を抱く人もいるかもしれません。待遇についてパートタイマーから説明を求められたら、雇用主は待遇の決定にあたって考慮した事項について説明する義務があります。
・正社員へ転換するチャンスを(第13条)
雇用主は、通常の労働者(正社員)を募集する場合は、すでに雇っているパートタイマーにも応募の機会を与えるなどの措置を講じなければなりません。
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